三春法律事務所 MIHARU LAW OFFICE

2020.7.21

交通事故トピックス

vol.9 保険を利用するかどうか

1 保険を利用するかどうか

交通事故の初動後の流れ②のところで保険を利用する場合には,という書き方をしました。
保険に入っているのだから,当然保険を使うだろう,と思われると思いますが,状況によっては保険を利用することが却って損をするという場合があります。
そういった場合には保険を使わないという選択肢があり得ますのでその点について説明したいと思います。

2 自動車保険の等級

自動車保険には「等級」という事故歴(保険金請求歴)に応じて保険料の割引・割増を適用する仕組みがあります。
等級には1等級から20等級まであり,数字が大きいほど割引率が高くなります。事故歴がないほど,保険を使う可能性が低い人,ということになるので,保険料が安くなるのです。
ざっくり説明すると,保険金請求がない状況が続けば等級が上がっていき,等級が下がる保険を利用すれば,等級が下がって翌年以降の保険料が上がるという仕組みになります。
※かなり要約した説明になっておりますので,詳しい点はご契約の保険会社に確認してください。

3 保険を利用すると損をする場合

対物保険を利用すると等級が下がりますので,翌年以降の保険料が上がることになります。
そうすると,相手に対して賠償しなければならない金額が保険料の値上がり幅よりも小さい,という場合には保険を使わずに自分で支払った方が経済的には得をするという場合がありうるのです。
例えば「こちらに100%過失のある事故だが,相手の損害が5万円程度だった」という場合には保険を使わない方が得するケースが多いと思われます。
もちろん,経済的な要素以外にも考慮要素があるため一概には言えないのですが,「保険料の増額幅>支払うべき損害額 となる場合」には保険を利用せずに自分で支払う,という選択肢があることは頭に入れておいてください。
保険を利用した場合としない場合の保険料のシミュレーションは契約の保険会社に相談すれば教えてくれると思いますので,よく相談して決定することをお勧めいたします。

4 どの保険を利用した場合に等級が下がるのか

一口に自動車保険といっても利用した場合に等級が下がらない種類の保険もあれば,利用した際の等級ダウンの程度が異なる保険もあります。
このあたりはご自身の契約する保険会社に問合わせたり,インターネットで検索するなどしてお調べになるとよいでしょう。