2020.6.25
vol.4 交通事故にあったときの初動で気をつけること②
1 概要
今回は,前回に引き続き,交通事故にあったときの初動で気をつけておくことについて書いていきます。
2 現場の状況を撮影しておくこと
(1)なぜ現場を撮影しておくことが必要か
事故直後においては特に相手の言い分とこちらも言い分が違っていない場合にも後でそれぞれの主張する事故状況が食い違う場合もあります。
後で事故状況について言い分が食い違った場合,重要になるのは客観的な証拠です。つまり,誰が見ても明らかなものが重要になってきます。
その客観的な証拠の一つが事故現場の写真になります。
(2)なぜ客観的な証拠が重要か
客観的ではない証拠はそれが真実かどうかわからないものです。客観的ではない証拠の代表的なものは人の話です。あなたが話した事故の状況が真実であるかどうかはほかの人はわからないですよね。相手が話したことも同じです。これが食い違ったときにどういうふうに判断されるのかということはまた別の機会にお話しようと思います。
他方で客観的な証拠は動くことがない事実が認定できることになるので,お互いの主張が食い違った場合にどうやって判断するかの出発点になるのです。
(3)現場の状況の重要性
現場の状況のうち大事なことは次のようなものがあります。
- ・事故直後の車両の停止状況
- ・車両の損傷の状況
- ・周囲の道路の状況(見通しなど)
ア 事故直後の車両の停止状況
車両は物理法則に基づいて動きますので,衝突後の状況から,実際に事故が発生したときの状況を推測することができます。
例えば,時速何キロで走っていたからこういう場所で停止している可能性が高い,などということを推測することが可能になります。
相手の言い分からすると,事故直後にこのような車両の位置関係にはならない,というようなことがわかったりするわけです。
そうした理由から事故直後に双方の車両がどこに停止していたか,ということを写真撮影しておくとよい,ということになります。
イ 車両の損傷の状況
これも同じく,車両の損傷は物理法則にしたがって発生しますので,車両の損傷状況から入力角度が推測できたり,衝突時の速度が推測できたりします。
車両の損傷状況は,通常入庫した修理工場などで撮影してくれますので,必須ではないですが,撮影しておくにこしたことはありません。
ウ 周囲の道路の状況(見通しなど)
道路の状況や見通しは変わるものではないから,あえて必要なの?と思われるかもしれません。確かに変わらない部分もあるのですが,時期によって違うことは結構あります。
例えば,交差点近くに木が茂っていて交差する道路が見えにくいという状況を仮定しますと,同じ場所でも冬で葉が落ちていたら見通しが良くなっているということはありえます。
また,特に雪が降る地域では,道路の状況(路面そのもの,路肩の雪山など)は毎日変わるといっても過言ではありません。道路幅も全然違うことも多いので,冬期間は現場の状況を撮影しておく必要性は高いと思っておくべきでしょう。
3 まとめ
以上のとおり,可能な限り,写真や動画などで撮影しておきましょう。今はほとんどの方がスマートフォンを持っているため,簡単に写真や動画を撮影できるので便利ですね。
ただし,事故の相手の怪我の状況なども確認しないで一心不乱に写真や動画を撮影するのはトラブルのもとにもなりますので,タイミングには注意しましょう。